先日、神奈川県のホームページにて入試変更点の詳細が公表されました。
面接の一斉実施がなくなることはだいぶ前に公表がありましたが、
ほとんどの高校が面接を実施しないようです。
あまり評判はよくありませんでしたが、
面接でしか分からないことがたくさんあると思うのです。
それが、面接なしの高校の割合が予想をはるかに超える結果となったことに
少し驚いています。
ということで、面接がなくなった結果、
選抜制度にどのような変化が起こったのかを、
発表された内容から考えていきたいと思います。
変わったこと
まず、変更になった点を見ていきます。
面接がなくなったので、第1次選考の基準が2つとなりました。
また、これまでは「第2次選考」は「学力検査」と「面接」で1000点満点でした。
2024年度入試以降は,「学力検査」と「評価(主体的に学習に取り組む態度)」が選抜基準となります。満点は変わらず1000点です。
第1次選考と第2次選考とは?
時々「第1次選考と第2次選考でどちらの問題が難しいですか」「それぞれ試験日はいつですか」と質問されることがありますが、第1次選考と第2次選考は選考基準が異なるだけで、試験が2回実施されるわけではないということです。
選抜方法は2種類ありますが、受検は1回です。
例えば、架空のYK高校の入試において、100人の募集(実際にはそのような募集人員を出している高校は存在しません)に対して、200人が受験したとします。
第1次選考では、「募集人員の90%まで選考」ですので、YK高校では第1次選考で90名が合格となります。第1次選考で合格者に入れなかった残り110名の生徒の中から、●学力検査と●評価の2項目、または特色を含めた3項目で残り10%枠(10名)の合格者を決めることになる、というわけです。
・受験機会は1回で、2種類の選抜方式
・第1次選考と第2次選考でことなる高校に出願できるわけではありません
それでは、第1次選考と第2次選考を詳しく見ていきましょう。
第1次選考
第1次選考は、●調査書,●学力検査を基準に選抜します。
学校により、●特色検査が加わります。
選考基準の●調査書(a),●学力検査(b)に
各高校が設定した比率(係数)をかけ1000点満点とします。
比率は2以上の整数です。
また、●特色検査(d)は、1~5の整数です。
そのような学校はありませんが、特色検査の比率を5とした場合、
1500点満点で選抜をするということになります。
第2次選考
第2次選考の選抜基準は、●学力検査と●評価(主体的に学習に取り組む態度=観点別評価)の2つです。学校により、●特色検査の点数が加わります。
今回の入試改革(ちょっと大げさな表現ですが)で最も大きな変更点は、面接の廃止ですが、
●評価が入試で得点化されたことも大きいと思います。
●評価とは,観点別評価のことで、主体的に学習に取り組む態度をA,B,Cの3段階で評価したものです。
A゜,C゜のようにプラスアルファの評価が加わり,正確には5段階です。
ただし,上の図のように,A゜とAは実際の入試では区別されず,同じ3という点数になります。
C゜とCも同様です。
比率が8:2で,評価が満点の27の場合は、
当然、200点と換算されます。
評価がうえの例のように19の場合は,141点と換算されます。
通知表上は8点差ですが,受験のときには59点差になるのですから、
大切というか,恐いですね。
中学生の皆さんは,テストでいい点数をとることだけでなく,
授業態度,提出物,学習意欲を示すものには,
常日頃から意識的に取り組んでいく必要がありますね。
各高校の基準(抜粋)
特色検査のある高校の一例です。
特色の比率が「3」の翠嵐は特徴的です。
また,去年まで調査書と学力検査の比率が同じ(4:4:2)だった川和高の変化にも注目が必要です。
次に2次選考(特色検査を含む)を確認します。
ご覧のように,●調査書の評定(内申点)がなくなり,
●評価(主体的に学習に取り組む態度)に変わっています。
ここでは、中学校での成績を重視する従来の川和高の傾向が顕著になっています。
特色検査のある高校を抜粋で紹介します。
次に特色検査のない高校の例です。
第2次選考です。
第2次選考では、学力を重視する高校が多い中,
荏田高校と白山高校は●評価にそれぞれ,4割,5割の比率をつけています。
シミュレーションしてみました①
少々,極端な成績のシミュレーションです。
中2・中3ともにオール5の優秀な生徒。学力検査も5科目合計で420点でした。
この生徒が翠嵐に出願した場合と川和に出願した場合の
内申点と学力合計の点数差を比べます(特色は含みません)。
(調査書:宅力検査)が3:7の翠嵐と4:6の川和では合計点に
904点ー888点 = 16点 の差が出ています。
注目は翠嵐は学力重視で学力検査の比率が7ですので,6の川和と学力検査では84点も上回っている点です。
反対に内申点では,同じ成績なのに、当日の点数では比率4の川和が100点上回っています。
内申に強いのか試験に強いのかによって,翠嵐を受験するべきか、川和を受験するべきかについて難しい選択があるようです。
シミュレーションしてみました②
次にオール4の生徒について同じように点数をだしてみます。
オール4ですと実際には川和高も横浜翠嵐高も受験をおすすめできませんが,
3:7と4:6の違いをご確認ください。
オール5とオール4で、当日の点数に大きな差があることに注目しましょう。
横浜翠嵐(比率3:7) オール5(300) ー オール4(240) = 60点
川和 (比率4:6) オール5(400) ー オール4(320) = 80点
また、当然ながら、4:6(内申重視)の川和の場合、オール4では点数が押さえられ、
翠嵐を受験した場合よりも低い点数になってしまいます。
シミュレーションしてみました③
次の内申オール4で、学力検査平均70点の生徒の点数比較です。
(5:5)の高校,例えば城郷高,と(6:4)の高校,以前から内申重視の荏田高の例です。
比率は(内申点:学力検査)
オール4(80%)と350点(70%)では,内申の方が上の得点なので,
合計では、荏田高(内申重視)を受験した場合の方が10点上回っています。
同じ内申点でも80点差がついてしまうことに注目してください。
シミュレーションしてみました④
次に内申オール3で試験当日350点だった場合のシミュレーションです。
同じく、(内申点:学力検査)が(5:5)と(6:4)の高校の点数です。
オール3は、60%に換算されますので、オール4に比べ、換算の時点で20点差です。
これが5倍,6倍されますので,オール3とオール4では、試験当日、100点~120点の差がでることになります。
中学生のみなさん,「日ごろの勉強をがんばりなさい」という保護者のアドバイスの意味が分かりましたか。
「内申だけで、決まるわけではない」「内申より実力が大切」
そういった意見にもうなづける部分は確かにあります。
しかしながら、これだけ差がつくのですから、公立校受験を目指すなら内申点は中1から重視すべきです。
まとめ
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございます。
新しい選抜基準で,合否の出方に違いが生じるのは確実だと思われます。
第1志望が決まったらその学校の基準に当てはまるように対策を立てることが大切です。
また,学校の先生や塾の先生と相談し,さらに自分の得点力も見極めながら志望校を選ぶことも重要です。基準の違いを考慮せずに無謀な挑戦になるということがないようにしてください。
この記事に関して、不明な点,疑問,質問がある方はぜひお問い合わせください。
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